みやこ町に所在する曼陀羅寺に伝わる当麻曼荼羅。当麻曼荼羅とは、中央に大きく極楽浄土を配し、その周囲に小画面を並べて『観無量寿経』の内容を絵画化したもので、同図様の作例の最古作が奈良の当麻寺にあることによってこのように称される。中心には阿弥陀三尊像を中心とした諸仏諸菩薩が配される。これらの肉身は金泥で彩色され、輪郭は朱線で描き起こし、衣には截金を用いるなど、本格的な仏画の技法が用いられている。画中の彩色は、現在では退色が進んでいるものの、かつては美しく濃密に彩られていたことが窺える。諸仏諸菩薩の面貌や体躯の表現、截金の用い方などは鎌倉時代の作例との共通性を見せていることから、鎌倉時代・13世紀に制作された仏画と考えられる。福岡に伝来した希少な仏画の古作のひとつとして、重要な作品である。