福岡県の歴史と文化財

九州島の北部に位置する福岡県は、東シナ海を挟んで、中国大陸や朝鮮半島に近接する地理的特質を背景として、古くから対外交渉の窓口となって発展してきました。
また、玄界灘、有明海、周防灘という、異なる海に面して、福岡平野、筑後平野、京都平野をはじめとする、幾つかの平野が広がり、その後背には、三郡山地や英彦山古処山地、耳納山地などの山塊が発達しています。そして、山々に源流を持つ河川が、筑後川や遠賀川などの平野を貫流する大河川と合流しながら海に注いでいます。このような地理的特徴によって、地域ごとに多様な文化を形成しています。

国指定遺跡 竹原古墳

国指定史跡 竹原古墳

本県は、我が国の歴史上も重要な役割を果たした地域であり、各時代の歴史・文化の特徴を示す文化財が数多く残されています。その中でも、古代の大宰府は、アジアとの窓口として発展してきた本県の独自性を特徴づける存在と言えます。この大宰府に象徴されるように、本県には、アジアから日本へ、また都から九州へ、日々新たな文化が吹き込み流れゆく、他地域に類を見ない個性的な文化を育んできました。
本県の歴史文化を語る比較的古い時代の資料は、地下に残る埋蔵文化財として発掘調査によって見出されることが多く、弥生時代の王墓と青銅器、古墳時代の首長墓、武具や金銅製馬具等、大陸・半島に由来する豊富で多様な資料が数多くみられます。さらに飛鳥時代には、水城や大野城をはじめ、東アジア・朝鮮半島との関りが深い、古代山城が数多く造られました。

国指定特別遺跡 大宰府跡

国指定特別史跡 大宰府跡

国指定遺跡 元寇防塁

国指定史跡 元寇防塁

奈良・平安時代、西海道と呼ばれた九州を治めた大宰府と諸国との関係は、国府や国分寺など、古代の役所跡や寺院跡の遺跡にみることができます。また、海外との交流を示す貿易陶磁器類も数多く出土しています。そして、宗教文化の拠点・観世音寺には京の影響を受けた仏像があり、また周辺地域には地域的特徴を持つ平安後期から鎌倉時代の作品も数多く残されています。しかし、この時代の建造物は残っておらず、鎌倉時代の朝倉市普門院本堂が現存する本県最古の建物です。また、古代の創建を伝える神社の建造物の多くは戦国期に失われており、近世頃までに再興されました。

国指定重要文化財 英彦山神社奉幣殿

国指定重要文化財 英彦山神社奉幣殿

鎌倉時代の博多に開山した禅宗系寺院の多くは、その面影を残しながら今日まで法灯を灯し続けており、同様に山岳修験の霊山も信仰の対象として生き続けています。この時代の信仰に関わる仏像、絵画、石造物や経塚など、様々な文化財が今日まで伝えられています。また、当時の地域勢力や有力者の顕在化により、県内各地で伝えられてきたと考えられる文書類や刀剣類等があります。
江戸時代には、筑前、筑後、豊前の三国諸藩に分かれ、福岡城のように一部は文化財として保存され、またそれぞれの城下には当時の堀割などが残っています。そして、前時代に比べて多くの絵図や記録類が数多く残っており、当時の歴史文化を知る上でも貴重です。さらに、生活や生業に関する活動も大規模かつ多様になり、治水や干拓など各地に土木構造物やその関係を示す痕跡が見られます。また、地域色豊かな祭りや工芸品、特産品など今日まで継続するものも多く生み出されました。

国登録有形文化財 旧三井田川鉱業所伊田竪坑
第一煙突 第二煙突

明治9年(1876)、筑前・筑後と豊前の一部を併せて、近代の福岡県が成立しました。この時代以降、本県は、行政的枠組みと地理的環境を背景に、それぞれの地域に適応した文化を創出して、今日まで続く本県の風土と基層文化を形成しきました。さらに石炭や鉄など、近代のエネルギー資源を基盤とする産業と都市形成よって、今日の福岡県の原型をつくり出しています。
このように、本県の文化財は、地理的特徴を背景として、他地域にはみられない独自性を備えた歴史文化の重層性と、地域的多様性を持つもので構成されています。