炭鉱経営者であった伊藤伝右衛門が、本邸として築造した邸宅の庭園である。大きく三つの空間構成で、馬車回しと広場に造園的意匠が見られる玄関前の導入部、主屋を含む一群の建築の隙間に造られた小規模な二つの中庭、敷地の北半部に展開する広大な池泉庭園からなる。主庭は、流れや池泉の背後に緩やかな盛り上がりを見せる築山などからなり、主屋からの広角の展望を意図しているとともに、園内を一巡する途上で様々な景を楽しむことができる回遊式庭園でもある。