宮崎安貞(1623~1697)が著述した農学書11巻(うち附録1巻)。安貞は広島藩士の次男に生まれ、正保4年(1647)25歳で福岡藩に召し抱えられた。一度福岡藩を去って諸国を遍歴し、農耕法に対する見聞を広めた。その後福岡に戻り、志摩郡女原村(福岡市西区)に居を構え、自ら農業に従事するとともに、村民を指導した。安貞が私財を投じて開拓した耕地は「宮崎開(みやざきびらき)」と呼ばれる。『農業全書』は、女原村での農業生活と諸国遍歴で学んだ栽培知識を集大成した実証的な栽培技術書で、栽培法や効用を詳述し、日本農学発達の先駆とされる。元禄9年(1696)に完成し、翌年刊行された。幕府や諸藩が農事改良に取り組んでいた元禄時代の農業の実態を伝える史料として高く評価される。本史料は家宝として宮崎家に伝来したもので、美濃版半折袋綴の揃いである。