乙宮神社の御神体として祀られている石殿。南北朝時代の名工藤原助継の作。凝灰岩製で塔身と屋根部からなる。塔身正面に直垂、長袴姿の神像があり、両側には侍者の坐像が刻まれる。屋根は切妻造とし、軒に2列の垂木、棟に勝男木、棟の押木の先端には獅噛を刻む。妻には懸魚をつくる等、建物を摸した作風は助継得意のもの。背面に「奉造立 彦山第一之護法筑後国三池南郷藤田村 願主藤原経躬 大工藤原助継 貞和七■辛卯二月□日敬白」の銘がある。彦山護法とみえるが、彦山の氏子が広がる肥前・筑後の代表的遺品として宗教史的にも貴重である。