門司駅は、明治24年(1891)に九州の玄関口にあたる駅として作られたが、門司の発展に伴い旧駅の西方の海岸沿いの現在地に改築され、大正3年(1914)営業を開始した。その後、昭和17年(1942)の関門鉄道トンネルの開通に伴って門司港駅と改称された。本屋は、木造モルタル塗であるが、外壁を石貼り風にみせた洋風建築である。建物の中央部は「門」をイメージした2階建で、その左右に平屋建部分を配した左右対称の端正な意匠になり、記念性を強く表現している。屋根はマンサード屋根で、上部は銅板葺き、下部は石綿スレート葺きである。全体的にネオ・ルネッサンス風にまとめられた九州の鉄道の起点駅としてふさわしい格調高いものである。近代の駅舎建築として貴重であると共に、現役の駅舎であることが高く評価された。