吉祥天は福祥をつかさどる女神として奈良時代から造られ全国に数多いが、2mを超える大きなものはこの像だけである。本像は像高216cm、樟の寄木造。頭頂に大きく髻を結び、毛筋を刻まない地髪をたっぷりと作る。顔は丸顔に小さな眼・鼻・唇をつけ穏やかである。左手に宝珠を執り、右手は垂下し、沓をはき、ゆるやかな衣をつけている。体が太くたっぷりとした平安時代後期の観世音寺群像に共通した特徴をもつ。