大和物語は平安時代中期に成立した和歌物語で、この九州大学本は鎌倉時代後期の古写本である。帖末の本奥書によれば、底本は美濃権守勝命、即ち歌人として聞えた藤原親重の進上本で、正治2年(1200)8月、光阿弥陀仏が書写したものであったことを伝えている。大和物語の流布本は藤原定家の校訂を経たものであるが、この九州大学本は諸本中最も時代の溯る書写本奥書を有し、異本系の現存最古写本として大和物語の古態を伝えている。